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 創立50周年によせて           杉並親子劇場 代表 渡辺智子

 

 杉並親子劇場は今年で創立50周年を迎えました。1974年2月に「こどもセールスマン」(劇団風の子)を準備例会として杉並親子劇場は発足しました。第1回例会は同年7月の人形劇「猫は生きている」(劇団京芸)。今回の例会で194回を数えます。鑑賞例会を活動の軸として、地域の母親(サークル代表)たちがボランティアで運営してきました。だからこそ50年続けてこられたのだと思います。子どもにいいものをみせたい、きかせたい、生の舞台(ライブ)の感動や楽しさを親子で共有してほしい。その思いはこれからも変わることはありません。

 皆さま、杉並親子劇場のお仲間になりませんか。

 

 人形劇を楽しむ

 

 人形劇は例会でも多く企画し親子で楽しんできました。手使い、棒使い、糸あやつりなど形態はいろいろ。劇団も演目も多彩です。会場で、子どもたちがきらきらした瞳で集中して観る姿をみるとうれしくなります。何かが届いていると感じられて。感想文や絵もたくさん寄せられます。

私は入会して約40年。親からばあば世代となった今も人形劇はわくわくするし面白い。年齢を問わず心ひかれる人形劇の魅力をもっと深く知りたいと思いました。そのきっかけをつくってくれたのは、本日の上演者であるくすのき燕さんから紹介された冊子、『子どもと人形劇~観続ける私たちの発見~』(子ども劇場福岡県センター発行)です。くすのきさんはアドバイザーとして参加、寄稿もされています。人形と人形劇の歴史、子どもの発達と人形劇、編集担当者の座談会、くすのきさんのコラムなど、充実した内容です。子どもに寄りそって、人形劇を観続ける・演じるなかでみえてきた大切なものを教えてくれる報告集です。

 

そのなかの、くすのきさんのコラム「ツバメの考え」から一部抜粋して紹介いたします。

◆上演者としての実感をまずお伝えしたいと思います。「人形劇とこの年代の子どもとは、蜜月のときを過ごしている」というものです。(中略)無生物である人形が、幼い子どもたちの心象の中で正に「生きている」と感じることがあります。

◆筋力。学力。持久力。瞬発力。おしなべて人間に関する「力」というものは、使うことによってしか強 くなりません。「想像力」もその例外ではありません。ここでは「想像力」を実際には見えないものを観る力、聞こえないものを聴く力、イメージする力として捉えたいと思います。これは予測する事や論理を組み立てる事の源泉ともなるもの力です。この素晴らしい力を、人形劇は育てられると僕は考えています。なぜなら人形劇は「生きていないもの(=無生物)を生きているとイメージする事なしに成立しない芸術形態」だからです。(中略)そして、この「想像力」という非認知能力(テストなどの数字では測りにくい能力)は、人が生きていく上でとても重要な力です。

◆「ある一定の時間内に、今そこに居る他者との共感を持って、喜怒哀楽の感情の針が様々な方向に振れる。」今現在の僕が考える「演劇を観る意義」がこれです。この事は意義であるとともに、演劇の楽しさであり、多くの方が演劇に足を運ぶ動機なのだと考えます。

 

 人形劇は子どもの成長や発達にとってとても重要なものだとわかりました。さまざまな人形劇に出会って「こころの宝物」を増やしていってほしいとねがっています。

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